Cyan & Magenta

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デザインTシャツ【コウシュ】のブログ

プリンターのトナーを交換するとき、CMYK、
C(シアン)、M(マゼンタ/マジェンタ)、Y(イエロー)、K(Key Plate(キーとなる版で使う黒色))
と4色の名前を目にする。

イエローと黒は普段の生活に馴染みあるものだが、
シアンとマゼンタはなぜこの名前?

■Cyan シアン
少し緑がかった明るい水色、シアン。

シアンの語源は古代ギリシア語で”κύανος”(kyanos/cyanos)、
ラピスラズリのようなエナメル素材のブルー、濃い青色を指す語。

顔料の歴史に目を向けると、
青の顔料は古くはラピスラズリやマラカイトから作られていたが、
非常に貴重で高価であった。
そんな中、合成顔料の研究が進み、
1704年ベルリンで顔料のプルシャンブル―(プロシアの青)、紺青が作られた。

この濃い青こそ、もともと古代ギリシアのシアンの指していた色味である。

この紺青は、日本には1747年に輸入され、
伊藤若冲の『動植綵絵』の一つである「群魚図」(1765年頃の作)の中で、ルリハタ
葛飾北斎の富嶽三十六景(1831年作)、
ゴッホの星月夜(La nuit étoilée/The starry night)(1889年)にも
つかわれている。

他方、印刷技術の研究が進む。

1600年代ぐらいに光の3原色(Red、Green、Blue)(Addictive Color、加法混色)が発見される。

そののち、色の3原色(Subtractive Color、減法混色)が考えられる。

Subtractive Color、減法混色による紙へのプリントとは、
3色の光のうち、ある色の光を反射しないインクをつくることで、視覚的にある色が見えるようになる、というもの
(たとえば、シアンのインクとは、光の3原色のうち、赤の光が反射しないように作られている)。


1816年、2色のリトグラフ印刷の特許を取得(by EngelmannとCharles-Philibert de Lasteyrie)

1837年、3色印刷、4色印刷に成功

1893年、原稿の色を3色に分解することに成功(by William Kurtz)

1906年、CMYKの4色の液体インクでの印刷技術をさらに高める(by the Eagle Printing Ink Company )

 

こうした印刷技術の開発や特許取得の中、
色の3原色を構成する1つ、緑がかった水色、このインクに名づけられたのが「シアン」の名。

古代ギリシア語の指していた濃い青色とは異なるものの、
大きく青のグループに入るし、ブルーというのとも違うから、とか、
インクが液体として容器に入ってるときは濃い青に見える、とか、
なんだか格好良いから、という理由で名づけられたのかも?

ちなみに、シアン化合物(青酸)って色のシアンと関係あるの?
シアン化合物が青く見えるから?

答えは・・・
シアン化合物が青いのではなく、
合成顔料のプルシャンブルーが製造されるようになり、
このプルシャンブルーがシアン化物イオンを含んでいたことから、
化合物にシアンという名前がくっつけられた、というのが正しいよう。

 

■Magenta マゼンタ/マジェンタ
ショッキングピンクと紫の中間のような色、マゼンタ。

1856年、当時18歳の青年であった化学者ウィリアム・パーキンが、
マラリアの薬を合成しようと研究しているうちに出来たアニリン染料。

アニリン染料の第1号はMauve(モーヴ、紫)色であったが、
ほどなくマゼンタ色も発明される
(花のフクシア(fuchsia)の色に近いことから、「フクシン(fuchsine)」と最初は名づけられていた)。

この名は、イタリア ロンバルディア地方の、ミラノの西にある街、マジェンタからきたもの。

1859年、第2次イタリア独立戦争の際、
サルディーニャ王国とフランスの連合軍がオーストリア=ハンガリー帝国軍に勝ったのが、マジェンタの戦い。

ちょうど同じ1859年に特許取得・商品化されたのが合成顔料であるこの色。
マジェンタの戦いの勝利にあやかってマジェンタの名を商品名にしたと言われている。
または、当時フランスの植民地であったアルジェリア・チュニジアの人々で編成された
ズアーブ兵(Zouave)の制服と似た色だったことからという説も。

 

それまで天然の素材から抽出されていた染料は作るのが大変で高価だったが、
これらの発見により、安価に大量に染料をつくることができるようになって、
産業革命における綿織物の大量生産の一端を担うこととなった。

 

日本でこのマゼンタに近しい色味は、
牡丹色、つつじ(躑躅)色、等。
つつじ(躑躅)色は、枕草子などにも登場し、古くから人気ある色で、
4月の襲の色目(かさねのいろめ)(女房が重ねて着る着物の色の組み合わせ)で
緑系のものとあわせて着られていたようである。

しかし、これらはマゼンタのような鮮やかな色ではなかった。
そののち明治時代となり、
綿や他の製品同様、世界の技術や貿易の影響を受けて
化学染料で鮮やかに染められ、牡丹色と呼ばれて大流行した。

 

マゼンタはもともと色の名前でなく、新たに命名された名前なので、
シアンのように、色味が少し異なるなどの混乱なく、
素直に紫がかった鮮やかなピンクという共通認識がとれるのである。

 

 

こんな背景を知ったら、プリンターのトナー交換も少し楽しくなるかもしれない。

 

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