デザインTシャツ【コウシュ】のブログ
昨今、よき女性であるための修行の位置づけを超え、
その精神世界や奥深さの楽しみを女性が占拠している茶道。
しかし、女性が茶道をたしなみ始めたのは明治維新後のこと。
それまでの武家の後ろ盾を失い、表千家が三井家の庇護を受けたのに対し、
裏千家が女学校などの市場開拓に努めた結果である。
戦国武将が茶道の流行に乗り、ときに政治に利用していたのは有名な話であるが、
その後も茶道は男のたしなみでありつづけ、
江戸時代には大名や豪商から武士、町人にまで広まっていった。
茶の湯は男性にとって、納得・共感し、追求したくなりがちな世界なのだ。
そうは言っても、正座して甘すぎる和菓子を食べ、
茶器をくるくるまわして何がおもしろい、という先入観を持ってる方に、
少し興味が沸くかもしれない話。
茶道ではお茶を点て、飲む、という作法だけでなく、
懐石料理とお茶をあわせた茶事、茶花、様々な道具の知識・扱い方、など、
極める対象に限りがない。
その中の1つである、炭点前(すみてまえ)が美しく、楽しい。
従来、水屋(茶室の隅の台所のようなところ)で行っていた裏方の作業であったが、
その魅力に抗えなかったのだろう、千利休より前にすでにその作法が表の作法となっていた。
お茶に使う湯を、効率よく良い加減につくるために、炭をミニマルに鮮やかに組んでいくのが炭点前。
使われる炭は、太く丸くどっしりとした胴炭、
丸太型で胴炭よりも細い丸ぎっちょ(ぎっちょ(毬打)とは、木製の毬を打つホッケーのような遊び)、
真っ白で細く華奢な枝炭、など。
管炭(くだすみ)で最初の火が起こり、枝炭は火移りが早く他の炭に導火の役割をはたす。
そして胴炭は長時間火力を保つ。
炭の切り口の放射線状の割れ目が菊のように見える菊炭は、燃え尽きた後も白くその形をとどめる。
ただ、残念なことに、
炭焼き師の数は年々減り、炭の価格は高くなっており、
茶道教室では毎回全員が炭の点前の稽古をするわけにはいかない、
などの現実も起きているようだ。