デザインTシャツ【コウシュ】のブログ

油の話。

動物性油脂はだめ、植物性油脂は良い、という時代から、
リノール酸をとるべし、
トランス脂肪酸は史上最大の害悪、
朝食のコーヒーにはバターを入れるべし、
ココナツオイルが良い、いや日本人には向いていない、
アマニ油が良い、加熱には向いていないからそのままがベスト、
など、
次から次へと説というべきか、発見というべきか、流行というべきか、が変わる油の話。

専門用語が飛び交うと理解する気力もなくなってしまい、
なんとなくで済ませてしまうことから、
ここで一旦整理を。

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最も効率良く摂取できるエネルギー源であり、細胞膜やホルモンをつくる元となる脂肪。

その摂取は、動物・魚などの肉から、または、木の実・種など、植物から、となる。
動物性油脂、植物性油脂、という分類もできるけれど、
「飽和脂肪酸」、「不飽和脂肪酸」という分け方がある。

「飽和」・「不飽和」って何かというと、
分子構造がどうなっているかを切り口にした分類で、
炭素(C)が4本の手がすべて1本ずつ結合して安定しているのが飽和脂肪酸、
炭素(C)の4本の手が一部、2重や3重で結合しており融点が低いのが不飽和脂肪酸、ということのようだが、

複雑なことは忘れて、要は、
常温で固体なのが飽和脂肪酸、
常温で液体なのが、不飽和脂肪酸、と覚えておけば良い。

肉類、バター、など、動物性油脂は殆どが固体、つまり動物性油脂は殆ど「飽和脂肪酸」。
魚はこれにあてはまらず、魚に「脂身」が無く、「身」に「脂がのっている」状態からわかるように、
魚の油は「不飽和脂肪酸」(海や川・湖の水は冷たいので「常温で固まってしまう」と困る)。

他方、植物から作られた油は、殆どが液体、つまり「不飽和脂肪酸」
(あてはまらないものとしては、ココナツオイル、パーム油、カカオバター、ピーナツバターなど。これらは「飽和脂肪酸」を多く含む)。

さあ、もう嫌になってきたかもしれないので、
いきなり結論、どっちを摂ればよいか、と言うと・・・
両方ともに役割があり、バランスよく摂取すべきなのだが、

飽和脂肪酸(つまり、肉や乳製品、パーム油を使った加工食品など)のほうは、
現代社会において意識しなくても摂取しがちなので、どちらかというと抑える方向で意識すべし。

では、不飽和脂肪酸、
つまり、植物性の油で液体のものや魚の脂は、
積極的に摂るべき?摂らぬべき?その効果は?

ここからが面倒。
またしても分子構造の違いにしたがい、
不飽和脂肪酸の中で、オメガの「3」と「6」と「9」という分類がなされ
(おおざっぱには、分子構造の端っこから何番目に2重の結合があるか)、
それぞれ特徴が異なってくるよう。
覚えるのも大変なので・・・要は何を注意すべきか探ると、

「6」(ゴマ油、グレープシードオイル、など)と
「9」(オリーブオイル、菜種油、紅花油など)
は意識せずとも結構摂れているはず、という中、

唯一、意識しないと摂りにくいのが「3」。

で、オメガ「3」って何、とみると、ここで出てくる、最近よく目にする油たち。
えごま油、アマニ油、チアシード。
これってどう使えば良いの、どんな味なの、と少し面倒。

うれしいことに、オメガ「3」系の不飽和脂肪酸は、
脂ののったイワシ、サンマ、サバ、ぶり、マグロのトロ、ウナギ、サケなどにも含まれている。
なので、日本人なら週2回ぐらいこれらの魚を食べるというほうが簡単に実現できそう。

ここで知っておくと良さそうなのが、
オメガ「3」とオメガ「6」の相反する関係。
普段の食生活でたくさん摂る機会のあるオメガ「6」のほうは、病原菌などから体を守る炎症反応を促進する(しかし度を過ぎるとアレルギーやがんにつながる)、
あまり摂っていない可能性のあるオメガ「3」のほうは、炎症反応を抑制する役割を担う。
トータルでの健康のためには両者をバランスよく摂ることがとても重要。

どの油をとると良い?という疑問に対する結論は、
週2回、脂ののった魚をなるべく生で食べること、それ以外の油は意識せずとも摂っている可能性があるので極力控えること。
家での普段使いの油には、ごま油、オリーブオイル、菜種か紅花などで高品質なものを選んで、メニューごとにいろいろ変えて使うこと。

魚も水銀の問題が取りざたされたりもするし、今後も油に関して新発見もあるだろう。
1つのものに集中せず、食べ物の種類にしても、産地にしても、メーカーにしても、お店にしても、
いろいろなところのいろいろなものを食べるのが一番のリスクヘッジになると個人的には思っている。

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以下は、おまけの情報。

酸化を切り口に見た場合:
油は、酸素、光、熱、水、金属、微生物などの影響を受けると酸化(=劣化)する。
油の酸化が進むと最終的にはアルデヒド類などが発生、老化や病気の原因になると言われる。
そもそも油が酸化するとおいしくなくなる。
飽和脂肪酸(つまり、肉やバターなど)の良いところは、化学的に安定しており、酸化しにくい点。
これに対し、不飽和脂肪酸(植物で液体、魚のあぶら)は、化学的に安定しておらず、酸化しやすいため、保存や調理方法を気を付ける必要。
不飽和脂肪酸の中でも特に、オメガ「3」の油は酸化しやすいため、暗所に保管、加熱せずなるべく早くに生で食べると良い。
不飽和脂肪酸の中で、揚げ物をするときの加熱(180℃)に耐えられる(=高温でも酸化しにくい)のは、
オリーブオイル(210℃)やピーナツオイル(220℃)
(これに対し、ごま油は150℃、ひまわり油は170℃、コーン油は140℃、など。菜種油についてはデータが見つからず)。

製法を切り口に見た場合:
植物性の液体の油の作り方には、
・有機溶剤を使って油を搾りだす「精製」(米油、大豆油、菜種油などはこの方式をとることが多い)
・原料に圧力をかけて絞る「圧搾」(ごま油、えごま油、亜麻仁油、ココナツオイルなどはこの方式をとることが多い。低温圧搾か高温圧搾かの違いもある)
の2種類がある。
低温で圧搾された油は高品質で栄養価が高い。
精製や高温での加工の場合、効率的に大量に作ることができる一方、品質は落ちることになる(有害と表現する人や場合もある)。

トランス脂肪酸;
食品や菓子の大量加工においては、安定していて酸化しにくい油/脂肪を使いたい(劣化しにくいように)。
植物から作る油はバター等より安く作ることができるが、難点は、不飽和脂肪酸、つまり、不安定で酸化しやすいということ。
そこで、植物からつくった油(不飽和脂肪酸)に、人工的に水素(O)を加え
(炭素(C)が2本の手で結合しているところを、一部、2本の手でなく1本の手で水素(O)と単体結合するようにして飽和脂肪酸をつくる)、
マーガリンを作ったり、冷凍ピザや焼き菓子、揚げ物に使用。
その過程でトランス脂肪酸が生まれる。
トランス脂肪酸は悪玉コレステロールを増やし、善玉コレステロールを減らす、と言われている

えごま油とアマニ(亜麻仁)油:
「えごま」はシソ科の植物。ゴマではない。葉っぱは韓国料理・焼肉屋さんで出しているところもあるあれ。
亜麻仁油は、「亜麻」の種からとる油。「亜麻」の茎の繊維はリネンとなる。アマニ油は食用の他にも油絵具のパインダーなどにも使われている。
双方ともに、オメガ「3」系なので加熱は✕。味はかなり癖が強い(まずい?)とのこと。ドレッシングやたまごがけご飯にかける、納豆に混ぜる、などが良いそう。

ココナツオイル:
飽和脂肪酸に分類される。飽和脂肪酸は既に十分に摂っているので、意識的にココナツオイルを追加で摂取する必要はない。
ココナツオイルが良いと騒がれている(た?)のは、
糖質制限をしたときに脂肪が分解されケトン体ができるのを促進するという説から。
だが、ココナツオイルを飲むと痩せる、ということの科学的裏付けは不明。

菜種油とキャノーラ油、紅花油:
キャノーラ油は菜種を品種改良してつくったキャノーラ種からとった油。
菜種油、キャノーラ油にしても、紅花油にしても、製法、および、遮光の瓶に入ってるか、で選ぶと良い。

油を売る:
江戸時代、油売りがお客の枡に油を注ぐ際、油がたれ終わるまで時間がかかり、
その間お客と雑談をしていた、ということから、仕事中に無駄話をして怠けている、という表現に使われるようになったそう。

※以上、効能や体への影響に関すること、科学的根拠については、各自専門の情報源にてお確かめください

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